現在単行本64巻目の漫画『ワンピース』は国民的人気漫画ですが、うちの子供があまりにもはまっているのでそんなに面白いのかと思って、最近になって全巻通して読みました。そうしたところ、ワンピースはストーリーとしても波瀾万丈で大変おもしろいのですが、ベンチャー起業家にとって大変参考になることがものすごく多く詰まっていることに気づいて、感動してしまいました。(下記画像は、http://www.fujitv.co.jp/b_hp/onepiece/index.htmlから。)
というわけで私なりに、起業家ならば「ワンピースはこう読んで学べる!」という感動を10か条にまとめてみました。
その1、目的を果たすためには、一人ではできない。よい仲間を集めよう。
そもそもベンチャーを起業するにあたっては、一人で始めたり、友達と2人で始めたりというパターンが多いですが、ベンチャーの成功はいかに良いチームを作れるかです。ルフィはそこのところはっきりしており、「剣士」「航海士」「コック」「船医」などと、必要な機能にあてはまる人を探していっています。おもしろいのは、最初から自分のビジョンに100%賛同している人ばかりが集まっているのではなく、ルフィと行動するうちにビジョンに個人個人の思い入れが発生している点です。人集めで一番大切なのは、自分と気の合う仲間であるかどうか。心意気があるやつかどうかというところです。会社の立ち上げの時期は、人で成功できるかどうかが決まるので、「心意気」をもったやつかどうかは、大変重要な判断基準です。
その2、ビジョンは短い言葉でわかりやすくする。また繰り返し伝える。
ルフィのビジョン、目標は、「海賊王になる」ことです。極めてわかりやすく、極めて覚えやすい。ベンチャーのビジョンはこれでなければいけません。長々と文章で書いても、誰も覚えられない。ビジョンは短い言葉でわかりやすいのが一番です。また、多くの人がルフィのこのビジョンを聞いて笑いました。誰もが、そんなことできるわけがない。スケールが大きすぎるといって笑ったのです。しかしあれよあれよという間に、ルフィの存在は世界で大きくなっていき、いまや、このビジョンを鼻で笑い飛ばす海軍も海賊もいないでしょう。
ビジョン策定で大切なもうひとつのことは、誰もができないと思うようなことにするということです。狙う夢ならば大きい夢のほうがよい。夢が大きければ大きいほど、そこに惹かれて来る人の数も増えます。スケールはでかくというのがベンチャーの基本です。
その3、義理と人情に厚い
なぜルフィに人がついてくるのか。それは義理と人情に厚いからです。自らの命をリスクにさらしても「仲間」を救おうとする姿や、兄のエースを救うために脱出不可能といわれたインペルダウンに忍び込んで戦う姿は、多くの人に感動を与えました。ベンチャー経営者は、人を大事にするべきだと思います。会社の株がアセット(資産)ではなく、会社の社員(仲間)こそアセットである。その考え方に立ったときに、人はついてくるはずです。
その4、同じ方向に向いた組織を作る
自分たちの乗っていた船を捨てるかどうかの判断で、ルフィの方針とウソップの意見が対立したときに、ルフィはウソップの意見に左右されませんでした。これは大変難しいことですが、ベンチャー経営でも似た状況は起こります。しかし最後の責任をもつのは経営者です。方針を決める前まではいろいろな意見を聞く必要はありますが、いったん方針を決めれば、それに全員が従うことが大切です。方針に従わない仲間は仲間でないので去ってもらう、これができなければ、組織に方針の浸透をすることができません。ベンチャーは、人も金も何もかも足りない中でやっていかねばなりません。そのときに、みなが同じ方向性を向いているかどうかというのは成功の要となります。これは経営者としてルフィに学ぶべき点です。
ただし、ウソップが反省して戻りたいといったときに、2番手のゾロが反対したのですが、ルフィはもう一度受け入れました。この懐の深さはさすがルフィです。
その5、笑いをいつも忘れない
ワンピースはどこをとっても笑いばかり。こんなに大変なのにと思う局面でも笑いが入ります。結局、心配しても解決しないことは心配してもしょうがないし、解決する問題であれば心配する必要もない。ベンチャー経営は、毎日がジェットコースターにのっているといっても過言でないぐらい凄まじい速度でいろいろなものが変わっていきます。競合社や市場などでどうしていったらよいか、心配することは山積み。また、組織や人材に関する悩みも尽きません。でもそこでトップが暗い顔をしていれば、周りも暗くなる。問題はあたって解決するしかありません。これはベンチャー経営者だけでなく、人生のよいレッスンでしょうね。
その6、世の中の常識にとらわれない。枠にはまらない
私たちは世間ではこうあるべきだとか、こうしなければならないという枠にはまりがちです。もともとベンチャーは、この世にない新しい考え方やサービスや商品を世の中に送り出そうというのが使命です。(と私は思っています。)なので他社や他人の真似事しかしない会社はベンチャーではないとまで思っていますが、それはさておいても、ルフィの魅力は常識にとらわれないことです。誰もがいったん入ったら絶対に出てこれないインペルダウンという牢獄にあえて足を踏み入れたのも、彼が「できない」ということを最初から考えないからです。
ソフトバンクの孫さんは事業スタートをしたころには、小さい紙にいろいろなことを書いて、普通では考えられない組み合わせを事業に生かしたという話を聞いたことがありますが、これも同じこと。とにかく、「できない」「こうあるはずだ」といった考え方ではなく「どうしたらできるか」と考えること。自由で独自な発想、これがベンチャーの競争力なのです。
その7、時には引き際を知る
ベンチャー経営は順風万帆ではありません。成長を続けていたと思うと、次は谷底に落とされる。会社が生き延びていくためには、引き際を知るということも大切です。夢を実現し仲間を守るために、戦っても負けるときにはいったん引いて実力を蓄える。とくに外部のベンチャーキャピタルといった投資家がいるときには短期での勝負をつけろというプレッシャーもあり大変難しいときもありますが、経営者としては、自分の夢を実現するためのプライオリティを常に俯瞰して考える必要があります。
その8、きちんと食べる
なぜ船にコックが必要なのか。それは食べることなくして生きるエネルギーは生まれないからです。これがなぜベンチャー経営者に必要かって?食が細く弱々しいタイプの人についていく気持ちになるでしょうか。美食をする必要はありませんが、おいしいものに感謝をし、また仲間と楽しく食べる時間をもつ。これは、絆を強めるのにも役立ちます。
その9、己の至らざるを知り、常に努力する
人間はあるところまで行くと何か極めた感がでて、それ以上努力を止めてしまうことがあります。ベンチャー経営でも、少し商品が売れた時点で変な達成感や成功者感がでることは大変危険なことです。ルフィは、海軍と戦ったあとに、3日後に仲間と再会するというのを2年後に変更しました。これは、今の自分や仲間の実力では、「海賊王」になるという目標を実現できないことを知ったからに他なりません。
自信を持つことは大事なのですが、自らの能力を過信したときに、失敗は訪れます。自己評価が高い人は、往々にして自分を客観的にみることができずに、結局自分のどういったところを改善していいかを見ようとしないため、成長しないことが多いです。経営者としての自分や市場の中の我が社を客観的にみることが、自らと会社を成長させることができるのです。
その10、絶対にあきらめない
そして最後に、夢を実現するまでは、Never Give Up! 絶対にあきらめないことです。
次はどんな冒険の展開になるか、これからもワンピース楽しんで読みます!