毎年書いているその年のレコメンド市場のふりかえりですが、
今回、カスタマー・エクスペリエンスで大変著名な
米国のコンサルティンググループであるパトリシア・シーボルド・グループに
日本のレコメンド業界の代表的カンパニーということで
取材していただきました。(すごく光栄です!)
今回は、その記事を転記しました。元文の英語もつけときます。(English below)
質問:2012年の日本のレコメンド市場において見られた動向とは?
レコメンドシステムは、ECサイトの必要不可欠な要素となった。複数商品を取り扱う主要なサイトでは、なんらかの形のアイテム・レコメンデーションが提供されている。ほとんどのサイトが、(自社開発よりも)コスト効率の良い*サードパーティのSaaSタイプのレコメンデーションサービスを利用している。
市場規模について最新の正式な市場調査はなされていないものの、我々の見解としては、日本のレコメンデーション市場はまだ成長しているものと思われる。しかしながら、日本の経済環境は不況であり、過去数年間にスタートしたレコメンドサービスも苦戦しているところが多いと思われる。ニッチ市場にフォーカスしたり、ビッグ・データ分析、ソーシャルネットワークなどの関連市場にフォーカスをシフトしているベンダーもでてきている。
*高度なレコメンドシステムの開発は専門的技術知識を要するため。
質問:2012年の貴社におけるもっとも誇らしい成果は何か?
弊社独自の技術プラットフォームをベースとする2つのサービスをローンチできたことである。ひとつは、リターゲティング広告サービスであり、またパーソナライズドLPOサービスだ。
質問:パーソナルな顧客経験(カスタマー・エクスペリエンス)をますます促進していく上で、レコメンド・システムが果たす役割とは何か。
良いサイトというのは、顧客に対して、商品を探す手助けをする複数の商品提示(プロダクト・オファリング)の手段を提供しているべきだ。この手段のそれぞれが、ある意味で、レコメンドだといえる。つまりレコメンドとは選択の幅を提供するということだ。また、レコメンドによる商品提示をするということは、異なるニーズと興味を持った顧客がそれぞれに合った形でサイトを体験できるようになるということだ。これを理解し実現するECサイトでは、レコメンドはもはや単なる脇役でなく、主役となる。
質問:レコメンドシステムとパーソナライゼーションは今後何をもたらすのか。
我々はまだ氷山の一角しか見ていない。今日われわれの前にあるのは、「最適化」を待つ「未踏の島々」だ。レコメンデーションは、広告キャンペーンやランディングページとまだ上手くコーディネートされていない。そして消費者からの情報も企業がすべて受け取っているわけではない。パーソナルなウェブ経験を提供し、サイト外(オフライン)の顧客にもリーチしてトラフィックを自社ビジネスに呼び込むには、完全に統合された、数量的でクローズドループな方法を必要とする。そのためのツール、テクニック、手段をもつ企業には大きな勝算が生まれる。そのような企業がでてきたときには、数アイテムを枠内にレコメンドとしてだけみせるというようなことは、古臭いものになるだろう。今後、多くのサイトが、個別顧客のディープなナレッジモデルを活用した、革新的なパーソナライズドなアイテムナビゲーターを提供することになるのではないかと考えている。
(以下、原文)Question: How has the recommender systems market in Japan changed in 2012?
Recommender systems have become an integral part of EC sales in Japan.
Almost all major sites with more than a few dozen products now offer
some form of item recommendation. Because it is more cost-effective,
most sites use third-party, SaaS recommendation services.
There haven’t been any recent market studies, but our view is that the
Japanese market for recommendation services is still growing. However,
the economy is sluggish. Some new recommendation services launched in
the past few years have struggled — and a few have refocused on niche
markets or moved on to related markets such as big data, or
social-networks.
Question: What are your proudest accomplishments for 2012?
We successfully launched two services based on our integrated technology platform;
a retargeting ad service and a personalized landing page optimization service.
Question: What part will recommender systems play in enabling an increasingly personalized customer experience?
The best sites offer customers multiple, complementary ways to explore
the product offering. Each is, in some sense, a form of recommendation.
It is all about providing choices — allowing different kinds of
customers, with different needs and interests, to experience the
products in different ways. On sites that understand this,
recommendations are not a sideshow, they are the main act.
Question: What does the future hold for recommender systems and personalization?
We have only seen the tip of the iceberg. Today we have islands of
optimization. Recommendations are not well coordinated with advertising
campaigns and landing pages, and powerful signals from consumers are
being ignored. The process of driving traffic, providing personalized
web visits, and reaching-out to offline customers should be managed in a
thoroughly integrated, quantitative, closed-loop fashion. There is
money on the table for companies that have the tools, techniques, and
wherewithal to pull this information together. When they do, a web page
showing a few item recommendations in a box will seem quaint. In a few
short years, most sites will offer innovative, personalized item
navigators powered by deep knowledge models of individual customer
interests.