米国自動車会社のGMがとうとうChapter11を申請しました。Chapter11というと日本でいうと民事再生法に相当するものです。
GM(=ゼネラルモーターズ)といえば、1931年から2007年のなんと77年間の間、世界自動車売上No.1の座をしめていた企業です。2008年にToyotaに座を奪われました。企業体としては、構造的に利益がでずに、いつ倒れるかわからない死に体の状態が続いていたことは周知の事実です。このたび、ようやくひとつの結末を迎えることになったようです。
新聞の記事などを読むと、破たんの大きな原因は、環境の変化についていけなくなったことだということです。日経新聞だったと思いますが、GMのCEOも著書には「市場の変化に対応してかねばならない」ということを述べていたが、実際のところはまったく変革の必要性を認めていなかったと書いていました。
研修で、「ゆでがえる」の話を聞かれた人も多いと思います。これは、熱湯の中にかえるを入れると熱くて飛び出してくるが、水の中にかえるをいれてそれをじわじわと温めていくと、かえるは気づかずにそのうち死んでしまう、周囲の変化には敏感になって対応せよ、という訓話です。
私たちも、1998年にレコメンデーション専門企業として設立をして、当時はソフトウェア製品ということで市場に販売をしました。しかし、当時、インターネットバブルが崩壊しつつあり、ECサイトを運営していたベンチャー企業たち(現在と違ってまだECビジネスに参入している一般企業は少なかったのです)も資金難に直面していたころ、先に多くのコストとリスクがかかるソフトウェア製品は時代のニーズから離れて行っていたのです。私たちがそれに気がつくのにかなり時間がかかりました。会社の縮小などといった苦い薬を飲まされてその後、日本で最初のレコメンデーションのASP化に成功したわけですが、もっと早くに気がついていたらまた状況は違っていたかもしれません。
なかなか、ある環境の中にいると、視点に客観性を失ってしまうことが多いです。常に第三者の目として全体を見れる力を養うことが肝要なんですが、案外難しいですね。
昔の話ですが、富士通の元・山本会長と会食の席で隣に座れる機会がありました。当時の私は、イギリスのオンラインデータベース会社の日本総代理店の会社を立ち上げていたころです。(そういえば、富士通の現・相談役の秋草さんが、当時の私のやっていた会社に興味を抱かれて、その結果、富士通の子会社にこの会社の営業権を譲ることになったのですが、この頃はまったくそのようなことになるとは想定していませんでした。)山本会長からは、御自分はもと軍人だというようなご経歴なども教えていただいたり、私の話も聞いていただいたりしたのですが、その中で今でも一番印象に残っている言葉があります。会長が私にこう言われたのです。「西村さん、富士通も町工場からの出発ですよ。『継続は力なり』ですよ。」
どのような環境の変化があっても、自らを変化させて適用させていきながら「継続」をしていくことの大切さ。それを教えていただきました。この言葉は、今も私を支えています。