どうやら、航空券にも新しい検索システムの動きが訪れているようです。
最近になって、アメリカン航空が、航空業界がこれまで共通で使ってきたコンピュータ予約システムを使わずに、自社の予約情報は自社がコントロールできる先だけに提供したいといいだして、物議をかもしだしました。エクスピディアといった旅行代理店サイトが情報をとっているのがこのコンピュータ予約システムというわけで、現在法訴訟を含め反対が続出というところ。最終的にどうなるかはまだ見えません。
もちろん航空会社側のメリットはあります。これまでそういった代理店サイトに払っていた手数料を払わなくてすむので、それでなくても悲惨な航空会社のPLが少しはましになるということです。究極のコモディティ化をしている航空券ですが、ようやく航空会社も、仲介を通さず顧客との直接的な関係をもつことにメリットがあることに気付いたということでしょう。(まあ、プライスかバリューか、どちらを提供するかという、競争優位を何にとるかという議論にもどるわけですね。)
ただ反対している人たちは、消費者が比較検討できる情報が一か所にそろわないことで、消費者にとって結局デメリットになるといってます。
そんな話がある一方で、GoogleがITAのソフトウェアの買収計画を発表しています。
ITAは、マサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピュータ科学者が1996年に立ち上げた企業で、フライトスケジュール、運航路線、運賃などの情報をまとめて検索・参照できるソフトウエアを航空業界や旅行業界に提供しています。
GoogleのITA買収の目的は、新たなフライト情報検索ツールの開発だそうです。ほんと、Googleってこの頃なんにでも手を出しますね。
Microsoftやエクスぺディアは、猛反対のようです。この買収が成立すると、グーグルが、情報を他のサイトに流さない恐れがあるということが理由です。現在、米国司法省が、この買収が反トラスト法に抵触しないかどうかを調査中ですが、もし買収実現となれば、これも航空券の検索の世界の力学を変えることになりそうです。
このエントリーを書くきっかけになったNYタイムズの記事に、おもしろいサイトが紹介されてました。
Hipmunkという新しい航空券検索のサイトですが、例えば、羽田からボストンを検索すると、価格や乗換回数といった普通の項目での並べ替えだけでなく「agony」という項目で並び替えができます。agonyとは、「激しい苦痛」「もだえ苦しみ」という意味ですが、価格と飛行距離、乗換回数を総合して、一番苦痛の少ない順から並べてくれるというシャレたことをしてくれます。長距離の搭乗経験者であれば、大きくうなずくところですよね。
消費者からすると、ただ、「もっとすぐに、欲しい航空券が探せるようにしてくれ!」に尽きるんですが。。。