さて、2012年の年頭にあたり、昨年のレコメンド業界を振り返ってみました。
昨年は、ツイッターに続き、フェイスブックなどのソーシャルメディアが一気に日本で花開いた年でした。2011年の漢字が「絆(きずな)」と発表があったことは記憶に新しいことです。
レコメンドでもソーシャル・レコメンデーションにいち早くトライした企業もありましたが、結局フェイスブックというプラットフォーム上でのビジネス展開などが、まだ時期尚早の部分もあり、ビジネスとしては確立されなかったのが真相ではないかと思います。今後は新たなレコメンド機能を出しましたというよりもサービスという形で出てくる方が多いのではないかと思います。例えば米国のFoodio54とか、いろいろとアメリカでは出ていますね。
日本のレコメンドについて2011年に見られた残念なことは、レコメンドというサービスがすっかり定着した中で、効果数値の正確さが思いもかけずに見過ごしにされていたということです。多くのレコメンドサービスはSaaSの形態で提供されていますが、ここで難しいのがレコメンド効果の数値をどのように正確に追跡しているかというところです。利用企業がしっかりと注視すべき点ですが、この部分はバグも多く、検証も難しいため手つかずになっている場合が多いように思えます。これについてはすぐに解決されるとは思わない一方で、レコメンドサービスの提供側がより意識を高くもち良心的なサービスを提供するべきだという思いがますます高まりました。
2012年は、レコメンドサービスがというよりは、レコメンドサービスを扱っている企業がいろいろな方向に展開をする動きが見えそうです。例えば、よりデータマイニングとの連携を強くするところ、他のサービスとの連携を進めるところ、広告との親和性を追求するところといった具合に企業によって色分けがこれよりも明確になると思います。もちろん、「安い」ということを売り物にするところも継続してあるでしょうが。
いわゆるWebスケールのビッグデータ時代に、生データをビジネスに使える形(actionable data)に変えるエンジンは大変有用な意味を持ちます。レコメンドサービスに使われているエンジンは、データ同士の関係性・つながりの意味を見い出すためのもので、まさしくビッグデータ時代に必須なものであるといえるでしょう。今後、サイト内における単なる「おすすめ」サービスではなく、データ同士の関係性を把握し、最適なコンテンツをフィルタリングする技術として、様々なビジネス領域での応用が始まるのが2012年であると思います。