米国のネットフリックス社というDVDのレンタル会社が行ったレコメンドのコンテストは非常に有名です。
今のネットフリックス社が有しているレコメンド・エンジンのレコメンド精度を10%超えることができれば、100万ドル(すなわち、約1億円)の賞金を出すというものです。
このたび、とうとう勝者が現われました。AT&T研究所の開発チームらしいです。インターネット上の話題としていろいろなところで花を咲かせていました。記事の取り上げ方によっていろいろあっておもしろかったですが、その中でビジネスウィーク誌は、ちょっと皮肉調だったので記憶に残りました。
この記事では、ネットフリックス社の今回のコンテストのようなことは、2001年にX Prize Foundation(X賞財団)が、民間の資金で宇宙に人を飛ばすとために多額の賞金を出したのが始まりだといっています。その後、このようなコンテストがポピュラーになった、と。
これはコンテンストに勝った人が総取りするため、Winner-take-all raceなんていったり、dog raceといいますが、やり方次第で効果的なものもありますが、あまりいい印象はありませんね。あるブログでは、これはインターネットでいろいろな人が技術や新しいモデルを作っていくという動きの中で出ている当然の動きだなんていってますが、あくまでも、それは、賞金などといったコマーシャル的な部分がない場合の文化論ではないかと思います。
ネットフリックスのコンテストには4万2000人弱の応募があったわけですが、全ての人たちの費やした時間を足すとどれぐらいになるのでしょうか。
ネットフリックス社ではもちろん自社ではこれ以上ソフトウェアを改善できなかったので、こういう手にでたわけで、その意味では実利はもちろんあるのですが、ビジネスウィークによると、今回のPR効果が莫大であり、その恩恵の方が大きいという論調で記事が書かれています。
このビジネスウィークの記事のタイトルそのものが語っています。
"Netflix Contest: Another Crowd Pleaser"日本語では(ネットフリックス社のコンテスト:またでた、大衆の人気とり)とでも訳せるのでしょうか。
このようなお祭り的なものはまだあり得るのかもしれませんが、あまりこれが行き過ぎると、コンテストに参加する方が疲弊するのではないかと思います。
今回のネットフリックス社のコンテキストからのレッスンとしては、
・レコメンドはやはりコンスタントにチューニングし、改善しなければならない。
・そのときの精度がよいといっても、今後、商用的に使えるものかどうかはこれからの観察が必要。(今回賞金をゲットしたものは、100できかない手法の組み合わせですが、本当の商売レベルに落としたときに、誰が今後のチューニングができるかなどが問題となるでしょう。)
・コンテストのPR効果はあるが、本当にビジネスにプラスなのかどうかは今後の課題。
があげられるのではないかと思います。
それにしてもビジネスウィークはさすがに、ビジネスの観点からうまく記事を書くもんです。