本日は12月31日。2008年最後の日です。
ということで、今年のレコメンド業界を振り返ってみようと思います。
2007年からレコメンデーションサービスを提供するという企業が増えてきていましたが、2008年はまさに、一挙に噴き出したという感がありました。
2008年2月の池袋で開催されたネット&モバイル通販ソリューションフェア2008にもレコメンデーションを出展した企業がいくつかあり(もちろん弊社のアイジェントASPも出展)、また、2008年5月のWeb2.0マーケティング フェアでも弊社を含めて5社が出展。ニュースリリースでも新たなレコメンデーションサービスの紹介が目につきました。
1998年から2000年頃のレコメンデーション市場と全く異なっているところは、今回は、レコメンデーション機能がASPで提供されるというところに落ち着いたことです。以前はソフトウェア製品が主流でした。これも、時代の流れを感じます。
また、レコメンデーションを提供するベンダーの特徴として、多くが、「レコメンドもやっている」という企業が多く、弊社のように「レコメンドだけやっている」という企業はまだまだ数としては少ないように思われます。
また、数としては現在20社を超えると思われますが、技術に関しては、
○協調フィルタリング系
○非・協調フィルタリング系(ルールベース、クラスタリング、その他)
に大きく分かれ、協調フィルタリング系が数としては多いと思われます。非・協調フィルタリング系はいろいろとありますが、市場的に技術の名前が広く認識されているものはまだないと思います。
協調フィルタリング技術の中でみると、かなり技術の幅があり、古典的な協調フィルタリング技術から、より応用的なものやハイブリッドなものまで、様々なように見受けら得ます。
あと今年は、矢野経済研究所がレコメンデーション市場に関するレポートを出しましたね。このレポートの中では2010年までにレコメンデーション市場は16億円を超えるとの予測をされていますが、この数字はあくまでも現状のレコメンデーションサービスにベースを置いたものであり、個人的にはもっと大きい可能性があると思っています。
使い手市場側から見ると、「レコメンデーション」が、ECサイトのやるべきメニューの一つになった年ではなかったかと思います。といっても、本当の意味での「レコメンデーション」についての認識はまだまだ浸透しておらず、「おすすめ」=「売上が上がる」という期待感が先行しており、顧客との「信頼」を構築するためのものだという認識はまだまだ薄いと思います。
実際のお店であれば、店員がとんちんかんなものをおすすめすると、「なんだ、この店は」ということになり信頼を失ってしまいますね。レコメンドも実は、それと全く同じ性質をもっているのです。あの小さな「おすすめボックス」で表示されるものが、サイトとユーザーの信頼関係を崩しもし、強くもする。そう考えたときに、どのようなレコメンドが表示されるのかにより気を使うべきなのです。レコメンドは、オンラインショップにおける「接客」部分であり、顧客維持のための戦略的ポジションを有するのです。
こういった認識を、弊社を含めたレコメンデーション・ベンダー企業がしっかりと市場に啓蒙していくことで、よりこの市場が本物に育っていくと思います。非常に急速なスピードで、成長期を迎え、成熟期にすでに突入した感があるこの市場ですが、2009年は、「レコメンデーション」が単なる「機能」になり下がるか、それとも重要なWEB「戦略」として根付くかの大きな岐路の年になると思います。