昨年年末に、直江兼続の本を読みました。今年のNHK大河ドラマ「天地人」の主人公です。
私の読んだ本は、童門冬二著「小説直江兼続―北の王国」ですが、大変考えさせられる部分がありました。
みな一人一人が自分の利得だけを考える生き馬の目を抜く時代において、「義」を重んじた智将というストーリー自体もおもしろかったですが、
それにもまして、直江兼続が、国力の支えとなる農業を強くするために、実は、様々なことをした立役者だったというところが心に残りました。
兼続後、江戸時代に米沢藩が財政的に苦しくなります。つまり、会社に例えるとほぼ破たんした、そのときに上杉鷹山がターンアラウンドを成功させたということで、大変有名なわけですが、この建て直しも、直江兼続の時代にいろいろと作られた制度やしくみがあればこそ可能だったのだということらしいです。
経営に当てはめていうと、どのような大きな苦難やリスクに直面したとしても、企業の土台、基礎の力がしっかりとしていれば、なんとか乗り切れるということではないかと思います。
そして、企業の基礎の力を作るのが、「しくみ」ではないかと思います。
私たちのようなまだまだ小さい企業では、社員ひとりひとりの力が企業の力を大きく左右します。一人の優秀な社員が抜けることが企業の力に大きなマイナスな影響を与えるというのは、ほぼ多くの企業が経験しているところです。
もちろん、社員全員がスーパーマンであれば問題はありませんが、そのようなことを望むこと自体が現実的ではありません。私は、企業経営にとって望ましい形とは、だれもがしくみにのっとれば、ある一定レベルの仕事ができるということだと思います。そして、そのしくみのレベルが向上することによって、企業の力が向上するということではないかと思います。
ただ、小さい企業では本当に難しいチャレンジですが、常にこれを目指していくことで、個人の力も全体の力もアップすると信じています。
直江兼続が「しくみ」思考をしていたかどうかまでははかり知れませんが、経営のヒントとして考えさせられた次第です。