インターネットならではの物流や在庫コスト上の優位性によって、今までパレートの法則でいうところの80%をビジネス上組み込むことが可能になり、そこからの売上を集積することで新たなビジネスモデルが生まれたというWired誌のChris Andersenが唱える「ロングテール」が注目されています。
そこでその埋もれた80%をカスタマーに見せることができる技術であるレコメンデーションが、これまた注目されているようですし、Chirs Andersenの記事でNetflixやAmazonの例も紹介されていることもレコメンデーション技術への注目に拍車をかけているようです。
「ロングテール」という新しい言葉が作られて、最近のキーワードになっていますが、結局は、パーソナライゼーション、すなわち、サービスの個別対応と同じ事を意味していると理解することができます。いかに埋もれている80%を顧客に差し出したとしても、すべての顧客に同じものを漠然と差し出したままでは売ることはできません。ロングテールは、「何」が「誰」に売れて、興味を起こさせるかがわかったときに、事象として存在するのです。
Wiredの記事の中にもこういうくだりがあります。「我々の多くはヒット(歌や商品)以上のものを欲するのだ。我々のテーストというものは、主流のどこかから派生してくるものだが、主流に代わるものを探せば探すほど、そちらに引き寄せられていくものである。ただ残念ながら、ここ数十年では、産業界のニーズから新製品をどんどん投入するというマーケティング手段がとられたことによって、主流に代わる選択肢というものが、わきにやられてしまった。」
すなわち、ビッグ・ヒッツという主流のものばかりをマスである消費者に売るという手法には限界がきており、個別の消費者の好みに対応していくことへの重要性への回帰がさけばれているということです。ただこれは、ビッグ・ヒッツを無視していいということではなく、(やはりビッグ・ヒッツの売れる割合は多いですから)主流に代わる選択肢とのバランスをうまくとっていく必要あることを忘れてはなりません。実際にあるサイトで、売れていない部分だけをおすすめしてみるという実験をしたことがありますが、やはり効果はあがりませんでした。
ロングテールをビジネスに活かしていく上で重要なことは、単純に埋もれている部分だけに消費者の目を集める手段を講じることではなく、人気商品も含めた全てのコンテンツ(商品)を、【最もよいタイミング】で消費者の目に触れさせることで、所謂「ニッチ・コンテンツ」に、消費者のデマンドをシフトさせていくことです。
【最もよいタイミング】すなわち、【個別ニーズにあったアクセス】の提供を可能にするのが、レコメンデーション技術なのです。
(2006.06.02 弊社ニュースレターより)